母は年中疲れた湯呑みやトレーナーを着る。僕は季節で服を買う。
「何で?」って聞いてたのはもうずっと昔でいつからか「…。」になり
気がつけば「してあげたいなあ」と移ろいでいる。
明日は日帰りだけど早朝から高速バスで大阪に遊びに行く。
観光はひとつぐらいしか頭にないし、困ったら携帯で調べて動けばいい。
ただ僕がひそかにしたいのは、母に服を買ってあげたい。
疲れた部屋着は恐らく感情が生まれ意識が残り大切に着て。
ん。もしかしたら母は何も考えてないかもしれない。
ん。もしかしたら重箱の隅に残ったものみたく少しは意識してるかもしれない。
僕は勝手に後者の気持ちでいる。
そう居たいからだ。
母はもう50歳を過ぎた。
イオンに一緒に行く。母は「変わらんなあいつも」と灰色の言葉を呟きながら
顔は空の色をする。手が感触を覚えた馴染みのカゴを持ちながら店に入る。
何万回って足を運んだイオンも母はいつも空の色で足早に野菜へ向かう。
「今日は手抜きかなあ?」と家を出る前僕に服を見せる。
ダメと言ったところで着替える事しないって解ってるから「そうでもないよ」と返す。
そしてそれはいつも変わらない母の服装と僕の会話だ。
「会社や知り合いにの人に会ったらあんた恥ずかしいけな。きっちりせなお母さんも」
と言いながら母はいつも変わらない服を着て家の鍵を閉める。
取り立てて裕福でもなくコダワリがあるって話でもない
よくある家庭のやりとりだと思うが、たまに悲しく愛おしくなる。
考え過ぎかもしれんけど
「何回僕はその言葉をお母さんに言わせたんだろう」と思う。
前にユニクロでコートを買ってあげた。
週末前に入る新聞広告の一つ、目玉だった。
「ユニクロでもけっこうするなあ。今はここも高いんだなあ」
言いながら珈琲を飲んだ母は誰が見ても知れるくらい欲しいなあってしていた。
軽いダウンのコートで僕もユニクロでは上の方だなって見た。
「クリスマスプレゼントな!」と言って僕はその広告の週末に買って渡した。
色も好みは運良く外れてなくサイズはジャストだった。
「えー!いいだかー!でもお母さん着る機会がないでー!」と
笑顔で困って早速着ていた。それ見て嬉しかった。
以降、それから母がそれを着るの見ていない。
母は"全部"大切にしまっておく人なんだと知った。
明日は強引にでも服を買ってあげよう。
帽子でもいい。着てくれるやつをプレゼントしよう。
紙袋はそこで捨て着て明日は街を歩こう。
旅行先では慣れないからか僕の後ろを歩き続ける、
明日は横になって歩こう。
珈琲が好きな母だからスタバとか地元に無い専門のお店に連れてってあげよう、
御馳走しよう。
ホームセンターが好きだからドンキホーテに連れて行こう。
お酒が呑めないからお酒処に無縁な母も
明日は串カツや立ち飲みで食ってもらおう。
いつも深夜の関西テレビをうたた寝しながらもずっと見てる場所に
連れて行こう。
夜遊びする日は必ず「飲酒運転はすられんで!」と玄関で。
仕事で家をすれ違う時は「御飯作ったから食べてね」と写メしてくれる。
台所で一緒に御飯食べたあと僕が部屋に上がり
少しして居間に降りると大抵うたた寝しながらテレビ見てる。
僕が居ないと滅多に外出をしない。
休日昼間、部屋でPCいじる僕の時間軸、母はいつも畑仕事をする。
明日は大阪に遊びに行く。
母はまだ病院仕事が終わらず帰宅してない。
病院勤めは忙しくこんな日はいつも2時だ。
そして寝不足で朝早くバスに乗る。
行きも帰りも車内では寝るだろう。
無理させたな。ごめんよ
母の日遅くなったけど許してな、お母さん。
明日楽しみだな、お母さん。
さわさーーーーん。。。
返信削除朝から感涙。。
また、イオンでバッタリ会えるかな?(^-^)♪
Girl's talk*ちゃき
ちゃきさん>
返信削除会えますよー。母と一緒に歩くのがイオンだから笑
帽子も買って昨日はいい日になれました!